谷口教授の発音講座 7
(b) 各子音における日本人学習者の弱点
母音と同様に子音をも対比練習によって弱点を克服しよう。
(1) /b/ vs /v/
/b/ は両唇音であり日本人には容易であるが、/v/ は日本語にない唇歯摩擦音であるので、これが /b/ になりやすい。/v/ の調音様式である唇歯音の観点からは、唇と歯を合わせることはあまり難しくないが、調音部位である摩擦音の観点からすると、これは日本人学習者の弱点である。多くの学習者にみられる音は、/b/ の破裂音と /v/ の唇歯音の混合した破裂唇歯音(歯と唇で発音しても、摩擦音にならず、破裂音のままの状態)、すなわち dentalized b となって、英語のネイティブスピーカーには v には聞こえず、b の一種にしか聞こえない。
対比練習
/b/ vs /v/ boat /boUt/ : vote /voUt/
bow /baU/ : vow /vaU/
bowels /"baU@lz/ : vowels /"vaU@lz/
love /lVv/ : rub /rVb/
berry /"beri/ : very /"veri/
dove /dVv/ : dub /dVb/
BC /%bi: "si:/ : VC /%vi: "si:/
fiver /"faIv@`/ : fiber /"faIb@`/
対比文練習
/b/ vs /v/ I love strawberries very much!
Victor went to vote in Venice by boat.
This vanilla ice cream has a variety of flavours.
(2) /dZ/ vs /Z/(対応する日本語音は、
(「ぢ」の子音)vs
(「じ」の子音))
/dZ/ は破擦音、/Z/ は摩擦音であるので、前者は舌が口蓋につき、後者はつかないところに大きな相違があり、英語では重要な意味の相違を生むが、日本語におけるこの二音の区別は土佐と筑後の一部の高齢者によって受け継がれているのみで、ほとんどの日本人にとっては同一音にしか聞こえず、全く区別しない。例えば、従来の日本語においては「地面、鼻血、縮み」等においては「ぢ」、「時間、自分自身、蜆」等においては「じ」を用いていたのだが、現代の日本語では両者の音がどちらの場合にも自由に用いられている。傾向としては、語頭において前者(破擦音)を、語中において後者(摩擦音)がよく用いられる。したがって、日本人にとって、英語の/dZ/ (破擦音)と /Z/ (摩擦音)の区別は大きな弱点のひとつとなった。
対比練習
/dZ/ vs /Z/ ledger /"ledZ@`/ : leisure /"li:Z@`/
major /"meIdZ@`/ : measure /"meZ@`/
対比文練習
/dZ/ vs /Z/ I enjoy the Major League Baseball in June and July.
Jack and Jane usually take a leisurely walk in the field.
John Major favored “Measure for measure”.
(Shakespeare’s play)
参照:
日本人にとって、英語の/tS/ (破擦音)と /S/ (摩擦音)の区別は簡単である。
対比練習
/tS/ vs /S/ cheese /tSi:z/ : She’s /Si:z/
chips /tSIps/ : ships /SIps/
choose /tSu:z/ : shoes /Su:z/
cheap /tSi:p/ : sheep /Si:p/
chair /tSe@`/ : share /Se@`/
対比文練習
/tS/ vs /S/ She likes cheese and chocolate very much.
Please choose the cheapest shoes.
Mr. Chips likes to watch ships go by, sitting on a chair.
(3) /dz/ vs /z/
前項と同じく日本人の弱点である。ただし、/dz/ は破擦音というより、/d/ (破裂音)と/z/ (摩擦音)の連続であり、/z/ は摩擦音のみである。しかし、前項と全く同じく、前者は舌が口蓋につき、後者はつかないところに大きな相違があり、英語では重要な意味の相違を生むが、日本語における /dz/(「づ」の子音、破擦音)と /z/ (「ず」の子音、摩擦音)の区別は土佐と筑後の一部の高齢者によって受け継がれているのみで、ほとんどの日本人にとっては同一音にしか聞こえず、全く区別しない。例えば、従来の日本語においては「図面、続く、頭突き、水」等においては前者、「雀、見ず、涼む、ポン酢」等においては後者を用いていたのを、現代の日本語では両者の音がどちらの場合にも自由に用いられている。傾向としては、語頭において前者(破擦音)を、語中において後者(摩擦音)がよく用いられる。したがって、日本人にとって、英語の/dz/ と /z/ (摩擦音)の区別は大きな弱点のひとつとなった。
対比練習
/dz/ vs /z/ ads /{dz/ : as /{z/
needs /ni:dz/ : knees /ni:z/
heeds /hi:dz/ : he’s /hi:z/
seeds /si:dz/ : sees /si:z/
beads /bi:dz/ : bees /bi:z/
AIDS /eIdz/ : A’s /eIz/
maids /meIdz/ : maize /meIz/
guides /gaIdz/ : guys /gaIz/
tides /taIdz/ : ties /taIz/
sides /saIdz/ : size /saIz/
nodes /noUdz/ : nose /noUz/
cards /kA@dz, kA:rdz/ : cars /kA@z, kA:rz/
対比文練習
/dz/ vs /z/ The cards are ready, but the cars are not ready.
He needs to have his knees mended.
The guides were good guys.
The maids enjoyed walking through the new maize.
Please keep the ads as they are.
The bird sees the seeds very clearly.
谷口雅基(高知大学教授) 同教授の詳細はこちら。HPはこちら。
注1)
同教授は、アカデミックに近い英語音声学・言語学としてこの講座を提供します。英語発音.comが提供している英語発音コースとは、バックグランドとなる学問・研究は一緒です。しかし、英語発音コースでは古市が日本人向けにアレンジして発音を教えています。
料理に例えると、同じ食材を使っていますが、調理の仕方が違います。つまり、同じ学問・研究をベースにしていますが、教え方は違います。
注2)
英語発音.comの発音コースのベースは、ロンドン大学の音声学言語学部の研究です。同大学の教授陣が発音記号を考案し、研究を重ねてきました。ですから、同学部は発音の研究では最先端になります。
谷口教授の発音講座
2006-12-26
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